程度を見分けるには?
さてそれでは中古車の程度の見分け方について手順を追ってお話ししていきましょう。
どこから見ていくか
だいたい次のような手順で勧めていくのがよいでしょう。
1. まずは全体の雰囲気を感じ取り、同時に外装のチェック
2. 内装のチェック
3. 装備や機関関係のチェック
これらの手順は見落としなどないように、ルーチン化してしまうのがよいと思います。以下、順に説明していきます。
全体の雰囲気、外装
(1) 全体のバランスを見る
(2) 細かい部分を見る(各パネルごと)
(3) 鈑金歴 事故歴のチェック
まず少し離れたところから全体のバランスなどをみます。
真剣にチェックしようとするあまり、細かいところばかり見て「木を見て森を見ない」なんてことにならないように。この全体の印象という ものは結構当たっていたりするものです。
次に細かい部分に移ります。
こすりやすいバンパーの角、ボンネット、各ドア、ルーフなど、各パネルごとにチェックしていったら、見落としも減ります。
このとき事故のチェックも行いますが、それは『事故車の見分け方』の項目で詳しく説明します。ここでは鈑金跡チェックを説明します。
ボディに対して真正面(90度)から見るのではなく、少し透かしてみるような感じ(15度くらい)で見ます。下の写真のような位置から 透かし見ます。
右の画像、フロントドアからリアドアにかけて波打がお分かりになるでしょうか?
ヘタな鈑金塗装ほど大きく波打っており景色の映り込みがゆがみます。上手い鈑金ほど波打は少ないです。
上手い鈑金塗装ほど、景色の映り込みのゆがみはわずかになりますから気をつけてみてください。この写真の鈑金塗装は上手い方です。
もちろん一番良いのは鈑金塗装歴のない車。
次によいのは鈑金塗装歴はあるが、事故と関係のない、仕上がりの綺麗な鈑金塗装の車ということになります。
内装のチェック
(1) 全体の印象
(2) 常に身体が触れる部分のチェック
(3) 匂いにも注意
これもまずドアを開けたときの第一印象は大事です。なんとなくくすんでいるな〜とか。お!きれい!とか。
次に身体が常に触れる部分のチェック。つまりシートやハンドルなどです。
この部分の破れ、すれ、へたりなどをチェックします。
メーターの走行距離数字とシートやハンドルのすれ、破れ、へたり具合などに、あまりにも差がある場合はメーター戻しの可能性を頭に入れ てください。
ハンドルの状態チェックは意外と重要です。
運転に自信のない方は、ハンドルを握る手にも力が入ってしまい、ハンドルにしがみつくような運転になってしまうことがあります。
そうなるとハンドルのスレは大きくなり、中にはハンドルが極端に削れてしまう例もあります。
ゆったりとした静かな気持ちで運転する方は、ハンドルの握りも軽く、そういう方が乗ってきた車には、ハンドルにスレがでることはあまり ありません。
また、運転も上手だったりしますから、ぶつけたり、壊したりすることも少ないです。
どちらかと言えば、ゆったりと静かに運転されてきた車を選びたいですよね。
車内の匂いもチェックを忘れずに。
特に最近は家族の一員としてのペットと、一緒に車に乗る機会は増えてきているようです。また煙草のにおいを気になさる方も増えてきまし た。
気になる方はその辺のチェックも忘れずに。
装備や機関関係のチェック
次は、大事な機関関係のチェックです。
(1) 冷却水 エンジンオイルのチェック
(2) オイルフィラーキャップを開ける
(3) エンジンルーム各所のチェック
(4) エンジンをかけてみる
(5) ミッションのチェック
1. 冷却水とエンジンオイルのチェック
冷却水のチェックは、左の画像のキャップを開けてチェックします。
必ずエンジンをかける前に行うこと。つまりメーターパネルの水温計の針が一番下にある時にチェックすること。
これを守らないと、キャップを開けた瞬間沸騰した冷却水が飛び出してきてやけどすることになります。注意してくださいね。
ふたを開けてみて、水が入っていなかったら水漏れの可能性を頭に入れてください。
エンジンオイルのチェックは、まずはレベルゲージを抜いて行います。右の画像にあるゲージです。
こちらもエンジンを切った状態で行うこと。そうでないとオイル量のチェックを正確に行えません。
規定量のオイルが入っていない中古車は、オイル管理の悪かった車両か、オイル漏れ、燃料と一緒にオイルも燃えている(最悪です)可能性 を頭に入れてください。
2. オイルフィラーキャップを開ける
ここで大事なことをお話しします。
オイルフィラーキャップ(エンジンオイルの注ぎ口のふた) を開けて、エンジンの中をのぞいてみてください。
外したふたの裏側もチェックしてみてください。
ここにスラッジがたまっているようなら、その中古車はオイル管理の悪かった車両です。エンジン寿命の長い中古車を望むなら、こういった 車両は避けた方が無難です。
左の画像はエンジン内部の綺麗な中古車です。
右の画像のようになっている中古車のエンジンはあまりよいとは言えません。
このようにエンジン内部にスラッジ(右画像の黒いヘドロのような固まり)がたまってしまっている中古車は、軽自動車や小型車に多く見ら れます。
軽自動車や小型車をチョイスする方は維持費を安くすませたいという方が多く、オイル交換などのメンテナンスを省いてしまうようです。
逆に高級車では、このようになってしまっている中古車はあまり見かけません。
3. エンジンルーム内各所のチェック
さらにエンジンルームを丹念に見てオイル漏れなどの異常箇所がないかチェックします。オイルなどは下に垂れていくので、下からのぞくこ とも忘れずに。
ここまでのチェックはエンジンをかける前に行うことです。
4. エンジンをかけてみる
軽くふかしてみてエンジンがスムーズに回転するかチェックします。
「エンジン音」だけでなく、「振動」も大事な要素です。
問題がなければ、ハンドルを切ってみてパワーステアリングの状態を確認します。
さらにエアコンや各電装品、スイッチ類などのチェック。
5. ミッションのチェック
ここではATを例にとります。
まず「P」レンジから「D」レンジへ。次に「D」→「N」→「D」。次に「R」→「N」→「R」へ。
ここで変速のショック、タイムラグをみます。
変速ショックの大きなものはよろしくありません。変速タイ ムラグも2秒以上あるようなら避けた方が無難でしょう。
ATは壊れたら修理費が高く(30万くらい)つきます。ここでダメなものはきっぱりとあきらめましょう。
いかがでしたか?
「外装」「内装」「機関」について、それぞれ何をチェックしたらよいかお分かりいただけたでしょうか?
これらの項目すべてについて問題が無いようなら、その中古車は程度の良い方だと言えるはずです。
それでは次に、「事故車の見分け方」事故車はどうしたらわかる?についてお話ししてみましょ う。